法人の売掛金回収までの資金繰り~銀行融資とファクタリング
会社が資金調達をする場合に、銀行融資やビジネスローンなど、どの方法で資金を作るかお悩みの会社経営者の方もいますよね。
銀行や貸金業者などからお金を借りる方法の他にも、ファクタリングという方法が利用できることをご存知ですか。
中小企業などには時に審査が厳しいイメージのある銀行融資ですが、ファクタリングを利用すれば問題がクリアできる可能性があります。
そこで今回は、ファクタリングとはなんなのか、銀行融資との違いやメリット・デメリットについて詳しく説明していきます。
ファクタリングとは?
そもそもファクタリングとは、銀行や業者から借り入れを行う方法ではなく、自社の売掛け金を早期決済する方法のことです。
もっと簡単に説明すると、入ってくる予定の売上金をファクタリング業者に買い取ってもらい資金を入手する方法です。
取引先から実際の入金がある前に、現金を得られるという仕組みになっています。
ファクタリングが誕生した背景にある黒字倒産
ファクタリングは、お金を借り入れるという方法とは違い、売掛け金を現金と交換するというイメージです。
このような方法が誕生した背景には、「黒字倒産」という現象が存在します。
黒字倒産とは、利益(売り上げ)があるのにも関わらず倒産してしまうという現象のことで、売り上げを実際に回収できないままで支出が大きくなってしまい、事業が回らなくなり結果的に倒産してしまうことに繋がります。
売り上げと実際の入金のタイムラグが原因
企業では複数の取引先があることが多く、取引先によって締め日や決済日などのスケジュールが異なります。
そのため、実際に仕事をこなして売り上げが上がったとしても、実際に売上額を入金してもらうまでにはタイムラグが発生します。
このタイムラグが半月程度の企業もありますが、職種によっては半年先や1年以上先まで売掛が残ってしまう企業も存在します。
一方の自社にかかる人件費や家賃・水道光熱費などは毎月コンスタントにかかってきますので、売り上げが支出に追いつかなくなってしまうのです。
このように、売掛け金の回収や資金繰りで悩んでいる経営者の方も少なくありません。
そこで登場したのが売掛け金を買い取ってくれるファクタリングという方法です。
ファクタリングと銀行融資の大きな違いは?
資金繰りを考えた時に、経営者の方が一番最初に思いつくのが銀行からの融資ではないでしょうか。
ファクタリングと銀行融資には、実際にどんな違いがあるのかは利用前にしっかり把握しておきたいものです。
ここでは、ファクタリングと銀行融資の大きな違いについて説明していきます。
ファクタリングと銀行融資の比較一覧表
– | 銀行融資 | ファクタリング |
融資までのスピード | 即日〜数日程度(2社間) | 1週間〜1ヶ月程度 |
限度額 | 売掛金による | 〜1000万円程度 |
担保 | なし | 無担保と有担保がある |
保証人 | 不要 | 必要 |
手数料 | 10%〜30%程度(2社間) | 1%〜5% |
ファクタリングに登場する2社間とは?
ファクタリングについて調べていると、「2社間」や「3社間」などの言葉が出てきます。
実はこの「2社間」や「3社間」は取り引きに関わっている企業の数を指しています。
・2社間…ファクタリング業者・自社
・3社間…ファクタリング業者・自社・取引先(売掛先)
以前までは、3社間という取り引き方法がファクタリングの主流であり、取引先にファクタリング取引を合意してもらう必要がありました。
そのため手続きに時間がかかってしまい、債権を売却するという行為が誤解を招きかねないことから、ファクタリングを利用する方も少なかったのです。
しかし現在では、ファクタリング業者と自社で合意があれば、利用できるファクタリング業者も増えており、融資までのスピードが早くなるなどのメリットが得られるようになりました。
よりスムーズに利用できるようになった2社間の取り引きですが、売掛先からの合意を得ていない分、手数料が高額になる傾向があります。
審査で重視されるのは自社よりも売掛先
通常の銀行融資やビジネスローンの場合、審査で重要視させるのは自社のスペックや経営者の基本情報になります。
しかしファクタリングの場合には、重視されるのは自社よりも売掛先です。
これは実際に債権を回収することになるのが売掛先になるためというのが大きな理由になっています。
しっかりと支払い期日に支払いしているような取引先であれば問題ないことがほとんどですが、支払いの遅れが頻繁にある場合などは、審査に通過できない可能性もあります。
ファクタリングを銀行融資と比較した時のメリット・デメリット
それでは最後に、ファクタリングを銀行融資と比較した時のメリット・デメリットを見ていきましょう。
ファクタリングのメリット
◯最短で即日入金にも対応可能
銀行融資の種類や借り入れを行う銀行によっても状況は変わりますが、一般的な銀行融資を受ける場合には、審査に1週間以上かかってしまうことがあります。
これは、企業を対象とした融資の場合、融資金額が高額になる傾向があり、審査が慎重にならざるおえないことが多いためです。
しかしファクタリングの場合には、最短で当日や数日程度で入金してもらうことが可能です。
ただし審査の状況によっては時間がかかってしまうこともありますので、ファクタリング業者や取引先の状況を事前に把握しておくことも大切です。
◯売掛先が倒産した場合でも返金の必要がない
銀行融資の場合には、受け取った資金はあくまでも銀行から借り入れしたものです。
そのため、一度手に入れたお金ではあっても、毎月返済の義務が発生します。
しかしファクタリングの場合には、商品券を換金ショップでお金に変えるようなイメージがあり、売掛け金を肩代わりに資金を得ることができます。
そしてたとえ売掛のある取引先が倒産し、売掛け金の回収不能に陥った場合でも、返金などの責任が問われることはありません。
これは審査の段階でファクタリング業者が売掛先が回収不能に陥ってしまうリスクも含めて売掛け金を買い取るためです。
よって一度買取をしてもらえば、売掛先が倒産することによって返済を求められる心配がありません。
ファクタリングのデメリット
△銀行融資と比較すると手数料が高め
売掛先の信用度や2社間取り引きなのか、3社間取り引きなのかなど、状況によっても手数料は変わりますが、全体的にファクタリングは銀行融資よりも手数料が高額になる傾向があります。
これはファクタリングのメリットの項でも説明した、売掛先への貸し倒れのリスクが伴うためです。
また、ファクタリングの中でも、売掛先に合意を得ている3社間取引と2社間取引では2社間取引の方が手数料が高額になる傾向があります。
売掛先にファクタリング利用の合意を求める必要はありませんが、その分売掛金回収のリスクが増えるためファクタリング業者のリスクが高くなり、手数料が取られるというイメージです。
まとめ
今回は、ファクタリングとはなんなのか、銀行融資との違いやメリット・デメリットについて説明してきました。
ファクタリングと銀行融資の違いは、簡単にいってしまえば「換金」か「借り入れ」かの違いです。
そのため、売掛け金があれば利用できる可能性が高く、銀行融資のように返済を行う必要がありません。
しかし、銀行融資よりも手数料が高くなるなどのデメリットもありますので、自社にどちらの方法が合っているのかをしっかり見極めた上で、手続きを行うことが大切です。